平成23年4月2日
理事長 齊藤万比古
本年3月11日に発生した東日本大震災で亡くなられた皆様にまず哀悼の意を表したいと存じます。また、被災された皆様におかれましては大変不自由な避難生活に加え、御家族や知人の方を亡くされた皆様のご心痛はいかばかりかと拝察申し上げます。
私ども日本児童青年精神医学会は子どもの心の健康に関わる児童青年精神医学、およびその関連領域の徒として、被災された子どもたちの心の健康を支えかつ癒すために、最大限の努力を行ってまいりたいと存じます。すでに、地震発生後まもなくより各自治体立病院をはじめ、ナショナルセンターや国立病院、さらには医学部付属病院の心のケア・チームが現地に入って活動を開始しており、私どもの学会に所属する多数の医師がそれらの活動の一環として、あるいは独自のチームとして各地の子どもの心のケアにあたっております。
私どもの学会は災害対策委員会を中心に、地震発生直後より厚生労働省精神障害保健課および全国児童青年精神科医療施設協議会と連絡を取り合い、連携して現地における子どもの心のケア活動のコーディネーション、および入院治療が必要な子どもの全国での受け入れ態勢の構築にあたっております。また、被災された皆様や支援者の皆様に利用していただける子どもの急性ストレスに対応するためのリーフレットや手引の作成および配布を実施しているところです。今後、被災された地域の子どもたちの心の健康の回復のために、地元の専門機関および専門家と緊密に手を携えて、微力ではありますが息の長い支援を提供すべく、さらに努力を続ける所存です。
なお、子どもの気持ちを無理に聞き出そうとするなど、大人の配慮のない関わりが子どもの心の傷をさらに広げ、その回復を妨げるような結果になることは、支援者として厳に慎むべきであることは言うまでもありません。現地に駆けつける支援者はもとより、被災者を受け入れる地域での支援者やその他の子どもと関わる大人は、当然ではありますがこの点を忘れないでいただきたいと切にお願いします。
被災された皆様がこの困難を乗り越え、やがて安定した地域での生活を再開されますよう、そしてそのコミュニティには元気に走り回る子どもたちの姿とその幸せそうな笑顔があふれていますよう祈念申し上げます。