認定医から専門医の移行について

学会員各位

2025年11月13日

認定医制度ならびにサブスペシャルティの今後について

日本児童青年精神医学会 代表理事 岡田 俊
事務局運営委員会 委員長 辻井農亜
認定医審査委員会 委員長 小野和哉
専門医制度に関する委員会 委員長 三上克央

 日本児童青年精神医学会は「児童青年精神医学について優れた学識と高度の技能、さらに充分な倫理観を具えた臨床医を社会に提供することを目的」(一般社団法人日本児童青年精神医学会認定医制度施行規則第一条)として、認定医制度を設け、2025年4月1日現在で758名を認定してまいりました。本学会認定医は、児童精神科医数として報道等に扱われることもあるなど、本学会が社会に貢献する礎を築いていただいてまいりました。

【子どものこころ専門医について】
 今日において、専門医制度に加え、サブスペシャルティ専門医制度の認定が進んでおり、研修施設認定も含めたより幅広い制度設計が求められる時代になりました。そこで本学会は、日本思春期青年期精神医学会、日本小児精神神経学会、日本小児心身医学会とともに、子どものこころ専門医機構を設けました。移行期において多くの認定医を持った会員が子どものこころ専門医の取得が可能となるように、ここ数年鋭意認定医の認定を行ってまいりました。現在、子どものこころ専門医制度は、日本専門医機構によるサブスペシャルティとしての認定を受けるべく審査を受けている状況です。

【学会認定医制度について】
 そのような状況を背景に本学会の認定医制度の今後を検討してまいりました。認定医制度は、専門医制度が確立される以前に設置された制度であり、専門医制度の成立後は一定の区切りをつける必要があります。その際に、小児科専門医など精神科専門医を有しない認定医や、今後児童精神科専門医の取得を希望されない認定医は、更新を必要としない認定医として再認定し、今後も本学会の学会員である限り認定医として認定医制度の趣旨に定める役割を担っていただくことが望ましいと考えました。一方で、認定医制度そのものは一定期間をおいて新規認定を終了することが適切であると考えました。

【本学会としての新たな専門医制度について】
 児童青年期のメンタルヘルスの状況を見ますと、若年者の自殺が増加の一途をたどるなど、私どもに与えられた使命はますます大きなものとなっています。子どものこころ専門医は、精神科専門医と小児科専門医を前提とし、その上に子どものこころの問題を包括的に診療するサブスペシャルティとして設置されており、小児科医、精神科医はそれぞれの専門性を活かしながら、子どものこころの健康に寄与すると期待されたものです。一方で、児童精神医学は、本来精神医学を基盤とした領域であり、その専門性を明確化し、その発展をさらに追求していくことが求められます。
上記のような課題意識をもとに、本学会ではサブスペシャルティに関するワーキンググループを作り、サブスペシャルティの在り方について議論を進めてまいりました。理事会での検討の結果、本学会の方向性として、子どものこころ専門医が日本専門医機構に認定されることと並行して、本学会では児童精神科専門医制度を設け、研修プログラムの作成、研修施設の認定などの制度設計を行うこと、及び精神科専門医を有する本学会認定医は児童精神科専門医、指導医へと移行できるようにすることを採択するに至った次第です。
 制度設計の骨子は既に確定しておりますが、児童精神科専門医は本学会の認定というだけでなく、日本精神神経学会の認定するサブスペシャルティを目指しております。そのため、日本精神神経学会による審査のなかで若干の変更が生じる可能性がございます。そこで、制度の枠組みが確定次第、会員の皆様にはお知らせをいたします。なお、児童精神科専門医が、将来的に日本専門医機構の承認が得られるかも現段階では定かでありません。特に、子どものこころ専門医が先に認定をされていると期待されますから、その違いを明確にしていく必要がございます。そのためにも児童精神科専門医・指導医への移行を済ませられました先生には、児童精神医学の優れた学識と高度の技能、さらに充分な倫理観を具えた医療の実践を通して、その発展に寄与をいただきますようお願いを申し上げます。

以上

日本児童青年精神医学会認定医から児童精神科専門医への移行並びに指導医の具体的な方法につきましては、2026年1月以降にご案内してまいります。

認定医を有し、下記に該当される皆さまにつきましては、期間の定めのない認定医へ移行いただくこととなります。
 ① 精神科専門医を所持し、専門医への移行を希望しない者
 ② 精神科専門医を所持しない者

■児童精神科専門医・指導医の移行措置対象者について(2026年1月以降)

   ①精神科専門医 かつ JSCAP認定医 かつ 子どものこころ専門医
手 順 備 考
1. 専門医講習・指導医講習を受講(e-learning)し、修了証を各自発行する 随時・無料
2. 修了証と認定料・認定手数料の振込証明を学会事務局に送付する。 認定料 20,000円
3. 学会事務局から指定の住所に専門医証が送付される。
   ②精神科専門医 かつ JSCAP認定医
手 順 備 考
1. 専門医試験(筆記・面接)を受け、合格証を受けとる。 総会時・試験料 10,000円
2. 専門医講習・指導医講習を受講(e-learning)し、修了証を各自発行 随時・無料
3. 合格証及び修了証と認定料・認定手数料の振込証明を学会事務局に送付する。 認定料 20,000円
4. 学会事務局から指定の住所に専門医証が送付される。
   ③JSCAP認定医
   精神科専門医を所持し、専門医への移行を希望しない者。子どものこころ専門医の有無は問わない
手 順 備 考
1. 認定医維持の意向表明 随時・無料
2. 学会事務局から指定の住所に期間の定めのない認定医証が送付される。  
   ④JSCAP認定医
   精神科専門医を所持しない者。子どものこころ専門医の有無は問わない
手 順 備 考
1. 認定医維持の意向表明 随時・無料
2. 学会事務局から指定の住所に期間の定めのない認定医証が送付される。  

■備考
*専門医講習会ならびに指導医講習会は学会ホームページ、会員ページ内にあるe-learningから随時受講していただけます。
*③、④の場合でも、移行措置期間中に指定の条件を満たした場合には①または②に移行いただくことも可能です。

児童精神科専門医_移行期フローチャート(PDFダウンロード)