児童精神科専門医制度


註:児童精神科専門医は、精神科専門医を基盤とするサブスペシャルティとして、日本児童青年精神医学会によって認定されています。日本専門医機構の認定するサブスペシャルティを目指しており、その過程で細部が変更される可能性があります。掲載しているのは現時点の最新版であるVer.1(2026年5月15日)です。今後、変更が加えられた場合には、当ページに最新版を掲載するとともに、会員ページに変更箇所とその内容を掲示します。

理念と使命
①領域専門制度の理念と専門医像
 児童精神科専門医には、ひとりひとりの子どもを尊重し、家族や仲間関係、地域社会とのかかわりのなかで成人期に向けて実存的に発達していく存在としての理解が不可欠である。さらに、多様な発達特性や環境のもとにある子どもの心理的・精神医学的課題を、生物-心理-社会的次元で多面的に捉え、看護師や公認心理師、精神保健福祉士、作業療法士等との多職種連携、そして教育・福祉等の地域連携のもとに、子どもとその養育者に対する精神医学的援助や介入を行う診療姿勢と技術の修得が求められる。さらに、それらを通して、将来の精神的不調を予防するという精神的健康の増進、精神疾患の早期発見と外来・入院医療を含めた介入、それに関連した啓発活動、地域における医療システムの構築を行う。また、児童精神医学の発展、高度人材育成のためリサーチマインドの涵養にも努めなければならない。児童精神科領域は、かかる診療上の特性からも、専門性の高い臨床技能とともに、高度の倫理性と人権への配慮が求められる。

②領域専門医の使命
 児童精神科専門医は、家族や仲間関係、地域社会のなかで発達していく子どもを生物-心理-社会的次元で多面的に捉え、多職種連携と地域連携のもと、子どもの心理的・精神医学的課題の解決や精神医学的介入を行い、子ども精神的健康の増進による精神疾患の予防、精神疾患の早期発見と介入、精神疾患に関する啓発、地域医療システムの構築を担うことを使命とする。

専門研修の目標 (研修カリキュラム)
①専門研修後の成果
 現在、わが国では、子どもの身体的健康に比して精神的健康が低くとどまっていること、不登校や自殺の増加が持続しており、子どものメンタルヘルスの向上が国家的使命となっており、児童精神科に求められる社会的ニードも高まるばかりである。また、精神疾患患者の約8割が18歳までに精神疾患の診断を初めて受けていることから、精神疾患の予防、早期発見と介入のためには、児童精神科専門医が精神科専門医のサブスペシャルティとして、より専門性の高い診療ニードに応じることが求められる。本研修を通じて、児童精神科専門医は、乳幼児期から思春期、青年期までの精神的不調に対し、子どもが抱える発達特性や精神病理学的問題の理解とともに、子どもを、家族や仲間関係、地域社会とのかかわりのなかで、生物-心理-社会的次元で多面的に捉え、多職種連携や、福祉・教育等の地域連携のもとに子どもとその養育者に対する外来・入院診療を含めた精神医学的介入や援助を行うことができる。また、将来の精神的不調を予防するという精神的健康の増進やそれに関連した啓発活動、地域における連携構築にも関与する実践者であるとともに、リサーチマインドを有する次世代の児童精神医学を切り拓くことができる。このように、児童精神医学の発展、専門性に卓越した人材の輩出を通して地域医療の発展に寄与するものである

②到達目標(修得すべき知識・技能・態度など)
ⅰ. 専門知識
 専攻医は児童精神科専門研修マニュアルにしたがって、研修期間中に以下の領域の専門知識を広く学ぶ必要がある。
  1.発達理論(家族力動やアタッチメント関係を含む)
  2.症候
  3.診察・面接・診断と見立て
  4.検査
  5.薬物療法
  6.非薬物療法(精神療法・心理社会的治療(環境調整を含む)・その他(精神科リハビリテーションなど))
  7.外来治療
  8.入院治療(コンサルテーション・リエゾンを含む)
  9.多職種連携
 10.地域における支援と連携(教育や行政、福祉、司法など多機関による連携)
 11.法と精神医学(精神保健福祉法、児童福祉法、児童虐待防止法、自殺対策基本法、いじめ防止対策推進法等)
 12.疾患の概念と病態の理解(児童・青年の精神および行動の障害、乳幼児期と児童・青年期の諸問題

ⅱ.  専門技能(診察、検査、診断、処置、手術など)
1. 子ども及び家族との面接:子どもの立場や意思を尊重した良好な治療関係を維持する。家族面接により、家族関係を適切に把握するとともに、家族力動を踏まえた良好な治療関係を構築する。
2. 診断と治療計画:発達歴、精神・身体症状、心理社会的状況を的確に把握して、精神医学的診断と鑑別診断を実施し、適切な治療を選択する。年齢や発達段階に合わせた説明を行い、共同意思決定に努め、必要な同意とアセントを取得することができる。成長の経過に応じて診断と治療を見直すことができる。
3. 心理社会的療法、精神科リハビリテーション、および地域精神医療:子どもの機能の回復と自立促進、地域生活における良好な適応を獲得するため、多職種連携や教育・福祉との適切な連携のもと、心理社会的療法やリハビリテーションを実践できる。
4. 精神療法:精神療法を行うに際し、子どもを取り巻く家庭や仲間関係、社会状況を踏まえた適切なアセスメントを行い、家族との協力関係を構築して家族の潜在能力を大事にできる。支持的精神療法を施行でき、認知行動療法や家族療法、力動的精神療法を指導医の指導のもとに実践する。また、思春期の子どもたちには、思春期心性を踏まえた発達促進的な支持と介入を行う。
5. 薬物療法:向精神薬の効果・副作用・薬理作用を習得し、子どもに対する適切な選択、副作用の把握と予防及び効果判定ができる。適応外処方に際しては、必要性と副作用を十分にアセスメントするとともに、それらを本人と家族に丁寧に説明し同意を取得できる。
6. 補助検査法:病態や症状の把握及び評価のための各種検査を行い評価することができる。具体的には、身体診察、各種の心理検査、症状評価、血液検査、脳波の判読、MRI読影など。
7. 法と精神医学:精神保健福祉法全般を理解し、非自発的入院や行動制限と医療と保護の必要性、そこにある課題について把握し、行動制限の最小化に努める。児童福祉法、児童虐待防止法や自殺対策基本法、いじめ防止対策推進法等を理解する。
8. リエゾン・コンサルテーション精神医学:小児領域のチーム医療における精神科医の役割、他科の身体疾患をもつ患者の精神医学的診断・治療・ケアについて、適切に対応できる。
9. 各種精神疾患について、必要に応じて指導医から助言を得ながら、主治医として診断・治療ができ、家族に説明することができる。

ⅲ 学問的姿勢
 専攻医は、科学的思考や生涯学習、研究などの技能と態度を習得していくために、以下の内容を学んでいく。
1. 国際的な視野を持って最新の医学情報を常に吸収し、現状の医療を検証し、実践に活かす。
2. 児童精神科に関する病態や診断、治療法の研究に積極的に参画し、児童精神医学の発展に寄与する。
3. 他者からの評価を謙虚に受け止め、生涯にわたって学習し自己省察と自己研鑽に努める。

 児童精神科専門医としての臨床能力(コンピテンシー)には、専門的知識・技能だけでなく、医師としての基本的診療能力(コアコンピテンシー)が含まれる。
1. 患者や家族、医療従事者、教育・福祉等の関係者とのコミュニケーション能力
2. 医師としての責務を自律的に果たし信頼されること(プロフェッショナリズム) 
3. 診療記録ならびに共同意思決定のプロセスの適確な記載ができること
4. 患者中心の医療を実践し、医の倫理・医療安全に配慮すること
5. 臨床の現場から学ぶ技能と態度を修得すること
6. チーム医療の一員として行動すること
7. 後輩医師に対する教育・指導を行うこと

③経験目標(種類、内容、経験数、要求レベル、学修法および評価法等)
ⅰ. 経験すべき疾患・病態
 専攻医は、児童精神科専門医研修カリキュラムの到達目標にしたがって、疾患・病態を経験していく。児童精神科専門医の医師像を基本に、各領域の一般目標・態度を修得し、到達目標の疾患・病態は児童精神科専門医として自ら確実に経験する必要がある。
総論 (A)
A-1 発達理論(家族力動やアタッチメント関係を含む)
A-2 症候
A-3 診察・面接・診断と見立て
A-4 検査
A-5 薬物療法
A-6 非薬物療法:a 精神療法、b 心理社会的治療(環境調整を含む)、c その他(精神科リハビリテーションなど)
A-7 外来治療
A-8 入院治療(コンサルテーション・リエゾンを含む)
A-9 多職種連携
A-10 地域における支援と連携(教育や行政、福祉、司法など多機関による連携)
A-11 法と精神医学(精神保健福祉法、児童福祉法、児童虐待防止法、自殺対策基本法、いじめ防止対策推進法等)
各論(B)
B:児童・青年の精神および行動の障害
B-1 神経発達症(知的発達症)
B-2 神経発達症(自閉スペクトラム症)
B-3 神経発達症(注意欠如多動症、限局性学習症 他)、チック症・トゥレット症
B-4 統合失調症とその他の精神症、双極症、うつ病
B-5 不安症(場面緘黙や分離不安を含む)、強迫症、ストレス関連症、解離症、摂食症、身体的苦痛症、衝動制御症群と秩序破壊的または非社会的行動症群、物質使用症又は嗜癖行動症、睡眠・覚醒障害
C:乳幼児期と児童・青年期の諸問題
C-1 児童虐待・乳幼児期(0-5歳)症例
C-2 不登校
C-3 自傷・自殺
C-4 地域連携を要した症例(教育や行政、福祉、司法など多機関による連携)

ⅱ.経験すべき診察・検査等
1. 多職種連携と医療・教育・福祉との地域連携
2. 外来診療とインフォームドコンセント・アセント
3. 精神保健福祉法における入院(自発、非自発的)、コンサルテーション・リエゾン
4. 精神科救急、救急外来を受診する自殺企図児童への精神医学的評価と介入

ⅲ.経験すべき手術・処置等
専攻医は、児童精神科専門医研修カリキュラム「児童精神科専門医の到達目標・研修項目」にしたがって、経験すべき処置を習得していく。これは主に、「児童精神科専門医の到達目標・研修項目」の「総論」に含まれる処置を対象としている。

ⅳ. 地域医療の経験(病診・病病連携、地域包括ケア、在宅医療など)
 専攻医は、児童精神科専門医研修の研修連携病院において地域医療研修を行い、病診・病病連携の実際を経験し、以下の知識や能力、態度を養う。
1.当該地域全体の子どもを全人的、かつ継続的に診ることを学ぶ。
2.当該地域の児童相談所や地方公共団体の子ども家庭支援部署、学校、児童福祉施設、保健所などの役割と実状を学び、医療、教育、福祉との連携の実際を経験する。
3.通院困難な症例や虐待症例については、上記施設などとの連携のもと、必要な連携を図り、往診や入院、児童相談所による保護、警察の介入などを考慮する。
4.子どもや養育者の代弁者としての役割を担う。
5.療育や思春期デイケア、訪問看護など、多様な地域医療の実践を経験する。
6.児童精神科医療についての地域保健医療計画に参画して、地域連携の構築に寄与する。

ⅴ.学術活動
 専攻医は、児童精神科専門医研修において学識・研究者としての姿勢を身につけ、以下の知識や能力、態度を養う。
(1)症例検討会や抄読会、勉強会に積極的に参加する。
(2)児童精神科医療に関する病態や診断、治療法の臨床研究や症例研究に積極的に参画し、日本児童青年精神医学会や関連する地方会(学会ホームページに記載)において筆頭演者として学会発表を1回以上行う。
(3)筆頭著者として査読制度のある医学雑誌(児童青年精神医学とその近接領域など)に、児童青年精神医学に関する論文を1編以上執筆することが望ましい。
*研修期間中に(2)または(3)を終了することが必要である。

専門研修の方略
①研修方略の形式
児童精神科領域の研修はカリキュラム制で実施する。

②臨床現場での学修
児童精神科専門医研修においては、指導医は個々の専攻医に合わせた研修計画を示して、修練プロセスを明示する。修練内容の概要を以下に示す。
総論 (A)
A-1 発達理論(家族力動やアタッチメント関係を含む)
A-2 症候
A-3 診察・面接・診断と見立て
A-4 検査
A-5 薬物療法
A-6 非薬物療法
A-6-a 精神療法
A-6-b 心理社会的治療(環境調整を含む)
A-6-c その他(精神科リハビリテーションなど)
A-7 外来治療
A-8 入院治療(コンサルテーション・リエゾンを含む)
A-9 多職種連携
A-10 地域における支援と連携(教育や行政、福祉、司法など多機関による連携)
A-11 法と精神医学(精神保健福祉法、児童福祉法、児童虐待防止法、自殺対策基本法、いじめ防止対策推進法等)
各論(B,C)
B:児童・青年の精神および行動の障害
B-1 神経発達症(知的発達症)
B-2 神経発達症(自閉スペクトラム症)
B-3 神経発達症(注意欠如多動症、限局性学習症 他)、チック症、トゥレット症
B-4 統合失調症とその他の精神症、双極症、うつ病
B-5 不安症(場面緘黙や分離不安を含む)、強迫症、ストレス関連症、解離症、摂食症、身体的苦痛症、衝動制御症群と秩序破壊的または非社会的行動症群、物質使用症又は嗜癖行動症、睡眠・覚醒障害
C:乳幼児期と児童・青年期の諸問題
C-1 児童虐待・乳幼児期(0-5歳)症例
C-2 不登校
C-3 自傷・自殺
C-4 地域連携を要した症例(教育や行政、福祉、司法など多機関による連携)

③臨床現場を離れた学修(各専門医制度において学ぶべき事項)
 児童精神科専門研修においては、医学的知識に加え、発達・心理・倫理・制度・多職種連携を横断的に学ぶことが特徴であり、学術集会や講習会への積極的参加を通じ、専門性と社会的責任を兼ね備えた学修を行う。学術集会には、日本児童青年精神医学会総会、当学会が認定する学会もしくは研究会、e-Learningがあり、児童青年精神医学とその近接領域に掲載された論文(依頼原稿を含む)も学修に含まれる。

④自己学修(学修すべき内容を明確にし、学修方法を提示)
 児童精神科専門研修においては、専攻医は、到達目標および研修手帳に記載された疾患、病態、診察・検査・治療・処置技術等について自己評価を行い、自身の経験や理解が不足している領域を明確にした上で、計画的に自己学習を進める。臨床現場を離れた学修(Off-JT)の多くは自己学習に含まれ、学術集会、症例検討会、講習会、eラーニング等で得た知識を、文献・テキスト・ガイドライン等を用いて復習・深化させることが求められる。自己学習にあたっては、各専門領域の標準テキスト、専門医テキスト、学会誌の総説・症例報告、学会公式教材やセルフトレーニング問題などを活用する。臨床経験がない項目についても、文献学習、症例検討会、学会教育講演等を通じて理解を深める。
 テキストは日本児童青年精神医学会が出版する「(仮)児童精神科専門医テキスト」を基本として、本テキストが発刊されるまでは標準的教科書を中心に自己学修を進める。

⑤専門研修中の知識・技能・態度の修練プロセス
 児童精神科専門研修を修了するためには、児童精神科専門研修認定施設規定に定める児童精神科専門医研修認定施設に常勤(当直や超過勤務を除き概ね週に32時間以上の勤務)で勤務して3年間以上の研修期間が必須である。専攻医は、到達度の自己評価および指導医からフィードバックによる評価を受け、不足分については次年度で研修を行う。研修修了時には児童精神科専門医に必要な専門技能(診察、検査、診断、処置)を実施することができる。さらに、単独で新患を担当するとともに後進の指導が可能となる。なお、目標症例症例数ならびに修了要件については以下の通りである。

客観的能力評価(試験)
1.「児童青年精神医学会入会後で、かつ児童精神科専門医の認定を申請した時点より5年以内に自ら診療した児童青年期患者30例の一覧と簡潔な診療経過(所定の様式)
1) 申請者が診療を担当した時点で18歳未満であること。
2) 症例には13歳未満15例以上、13歳以上16歳未満を5例以上含むこと。
3) 経験する項目や内容は、項目12および18に記載されたB、C項目の中から30症例以上、かつ主治医として担当を開始した年齢が18歳未満(13歳未満15例以上、13歳以上16歳未満を5例以上含むこと)

2.1例2,000字以内の記述を必要とする症例報告5例
1) 申請者が診療を担当した時点で18歳未満であること。
2)30例の経験症例のなかから5例選択すること。
3)記述する内容については、項目12および18に記載されたB項目から4例、C項目から1例とする。
4)30例には、3③ⅱ「経験すべき診察・検査」1~4の診療場面を最低限各1つは含むこと。

3. 専門医認定試験
1)マルティプルチョイス形式の筆記試験(50問)
原則として、日本児童青年精神医学会が出版する「(仮)児童精神科専門医テキスト」に準拠して出題する。本テキストが発刊されるまでは標準的教科書に記されている内容を中心に出題する。
2) 面接試験
提示された症例要約に基づき行われる。

専門研修の評価
①形成的評価
ⅰ.フィードバックの方法とシステム
 児童精神科専門医研修においては、指導医は個々の専攻医に合わせた研修計画を示して、修練プロセスを明示する。また専攻医は、到達度の自己評価および指導医からフィードバックによる評価を受け、不足分については次年度で研修を行う。詳細については別記の「児童精神科の専門医研修カリキュラム・到達目標」に定める。

ⅱ. (指導医層の)フィードバック法の学修(FD)
 指導医は臨床研修指導医ワークショップにおいて専攻医に対するフィードバック法を学習する。また、日本児童青年精神医学会の主催する教育講座(eラーニング)をもって可とする。

②総合的評価
ⅰ. 評価項目・基準と時期
(a)評価項目:
1.児童精神科専門医として必須の知識や技能(具体的到達目標は、別記の「⑧ 研修方法について2 到達目標」に記載の内容)や診察能力、経験症例
2.児童精神科専門医としての適切なコミュニケーション能力および態度
(b)評価基準:
1. については、到達目標に関して、指導者が、5段階の概略的評価(A:優;B:良;C:可;D:不良;E:未経験)及びコメントによるフィードバックを行う。70%以上がB評価以上で、未経験は5%以下を合格とする。診察能力の評価は、病歴聴取や所見の評価、コミュニケーション、臨床判断、プロフェッショナリズム、まとめる力・能率、総合的評価の7項目について、専攻医の面接に指導医が同席し、診療技能についてフィードバックを実施する。
2. については、専攻医が、診療の態度や家族支援の姿勢、子どもや家族の考えを代弁する姿勢、メディカルスタッフに対するコミュニケーションとプロフェッショナルとしての態度について、指導医1名ならびに看護師、公認心理師、精神保健福祉士、作業療法士等の医療スタッフのうち1名以上による360度評価を受ける。その方法として5段階の統括的評価(A:優;B:良;C:可;D:不良;E:未経験)及びコメントによるフィードバックを行う。
(c)評価時期:
上記1、2を少なくとも1回実施する。研修中に研修機関が変わり複数にまたがる場合には、各研修終了時に評価を実施する。

ⅱ. 評価の責任者
 評価の責任は研修統括責任者が担う。
ⅲ. 研修修了判定のプロセス
 本学会により認定された研修施設において3年以上児童青年精神医学の研修を受けることを必要とし、以下の方法によって研修修了判定を行う。
1. 専攻医は研修手帳に研修記録(症例・年次目標・知識・技能・態度)を登録する。
2. 担当指導医は研修内容を評価し、必要に応じて360度評価等を参照して医師としての適性を判定する。
3. ケースレポート(児童青年期患者30名の一覧表(所定の様式)、1例2,000字以内の記述を必要とする症例報告5例)を作成・提出し、査読受理をもって要件充足とする。
4. 児童精神科専門医認定試験に合格すること。
5. 別に定める児童青年精神医学に関係した学術活動を行っているもの。
6. 試験受験可否の判断は児童精神科専門医・認定医審査委員会が最終決定を行う。

ⅳ. 多職種評価
 メディカルスタッフによる360度評価を行う。

ⅴ. 客観的能力評価(試験)
面接試験:有(提示された症例要約に基づき行われる)
専門医試験の方法:多肢選択式問題(MCQ)
出題数:50問
判定基準:受験者の約80%を合格ラインとする

③専門医資格更新要件
 専門医としての診療能力を維持し高めていくために5年毎に更新審査を行う。
(1)診療、(2)講習受講、(3)その他の活動を通じて30単位以上の研修を行う

(1) 診療実績(上限20単位)
 1. 自ら治療を担当した児童精神医学領域の患者について、1例2,000字程度の症例報告を提出する。
 2. 症例は診療時に18歳未満の患者とする。
 3. 1例につき5単位とする。

(2) 講習受講(上限20単位)
 専門医更新講習として認定された講習(概ね1時間あたり2単位)を受講する。

(3) その他の活動
 日本児童青年精神医学会への参加、当学会が認定する学会もしくは研究会への参加、児童青年精神医学に関する学術活動、児童青年精神医学とその近接領域に掲載された論文、児童青年精神医学に関連する査読のある学術誌に掲載された論文、児童青年精神医学に関連する査読のない学術誌に掲載された論文、日本児童青年精神医学会学術総会での発表、当学会が認定する学会もしくは研究会における発表(別に定める)、地域活動(学校医、児童相談所嘱託医、教育委員会嘱託医、学生相談などの相談業務)、本学会の要請によるいじめ第三者委員会への協力、その他、学会が認める活動を単位として認定する。

専門研修施設の要件
①専門研修基幹施設の認定基準
 ”以下の条件を満たす施設は、日本児童青年精神医学会が専門研修施設として認定することができる。
 1. 児童精神科指導医が1名以上常勤する、医育機関附属病院、厚生労働大臣の指定する臨床研修病院、小児総合医療施設、児童精神科診療を行う診療所、またはこれらに準ずる病院、各種医療機関で児童精神に該当する医療を行っている医療機関であること。
 2. 年間の16歳未満の新患症例数が30例以上、月1回以上のスーパービジョンもしくは症例検討カンファレンスが実施され、児童精神医学に関する臨床教育や指導の体制があること。
研修の質を担保するための方法:
 1. 児童精神科指導医の認定、更新時に実施される研修では、児童精神医学に関する指導内容の研修を実施し、質の均てん化、向上を図る。
 2. 各研修施設は研修施設更新時に児童青年精神医学会に実績報告を行う。
 3. 日本児童青年精神医学会は研修内容の実態把握に努め、その均てん化と質の向上に資する活動を継続する。

②専門研修連携施設の認定基準(連携施設を設ける場合は記載の必要あり)
 専門研修連携施設の設置は行わない。

③就業義務のある専攻医のための配慮
 従事義務のある専攻医については出来るだけその従事義務を満たす修練施設での修練が出来るように修練統括責任者は配慮しなけらばならない。上記の対応が出来ない場合には修練期間の中断などを活用し、引き続いて専攻医が児童精神科修練を継続できるように配慮する。

研修制度の運用要件
①専攻医受入数についての基準 (診療実績、指導医数等による)
各施設において、児童精神科専門医指導医1名あたり同時期に専攻医3名までを原則とする。それ以上の受け入れは、児童精神科専門医・認定医審査委員会への届け出を経て承認を得た場合に限り可とする。

②地域医療・地域連携への対応
 児童精神科医療の地域格差の是正と専門医療の均てん化を目的として、過疎地域・医師不足地域でも研修・診療が継続できるよう、施設群の設置を求めない。児童精神科専門医を志す専攻医は、基本領域である精神科医療における救急・当直・外来を含む地域医療の担い手でもあり、地域医療に密着した研修となるべく、児童相談所や保健センターなどでの研修を推奨する。地域における多様な研修機会に乏しい専攻医に対してはオンラインによる研修会や指導を活用して研修を認める仕組みを整備する。

③研修の質を担保するための方法
1. 児童精神科指導医の認定、更新時に実施される研修では、児童精神医学に関する指導内容の研修を実施し、質の均てん化、向上を図る。
2. 日本児童青年精神医学会は研修内容の実態把握に努め、更新時に研修施設の認定の可否の判定や研修施設への指導に活用するとともに、その均てん化と質の向上に資する活動を継続する。

④研究に関する考え方
専攻医は、科学的思考や生涯学習、研究などの技能と態度を習得していくために、以下の内容を学んでいく。
1. 国際的な視野を持って最新の医学情報を常に吸収し、現状の医療を検証し、実践に活かす。
2. 児童精神科に関する病態や診断、治療法の研究に積極的に参画し、児童青年精神医学の発展に寄与する。
3. 他者からの評価を謙虚に受け止め、生涯にわたって学習し自己省察と自己研鑽に努める。

⑤診療実績基準(基幹施設と連携施設)[症例数・疾患・検査/処置・手術など]
 専門研修施設認定は以下の規定に従い認定を行う。
1. 研修施設においては(児童精神科指導医である)研修統括責任者1名と児童精神科指導医1名以上の配置が求められる(研修統括責任者と指導責任者の兼務は可)。
2. 児童精神科指導医取得後に登録方法を案内し、研修施設としての登録を速やかに行うことを児童精神科指導医に広く周知に求める。
3. 移行期終了(2031年度末)まで、児童精神科専門医試験および児童精神科指導医講習会を年に複数回開催し児童精神科専門医及び児童精神科指導医資格保持者の質の担保と専門医指導医の増加を目指す。
4. 2026年度に限り、研修施設の登録手続きが年度内に登録が行われた場合には4月1日に遡って研修施設として認定する。
5. 専門医研修施設は、2026年5月の時点で、44都道府県に設置されている                                                               
⑥基本領域との連続性について
児童精神科専門医研修は、基本領域である精神科専門医研修の上に位置づけられるサブスペシャルティである。そのため、児童精神科専門医の取得には、精神科専門医資格を前提とする。基本領域で培った診療能力・症例経験・手技を土台として、サブスペシャルティの研修を深化させていくため、基本領域研修中に、サブスペシャルティに該当する症例・研修内容については、精神科研修2年目以降の症例であることなど、一定条件のもとで専門研修の一部として算定を認める連動研修を可能とすることにより、研修の質を担保しつつ、専門医取得までの期間短縮や研修の効率化が可能となる。

⑦専門研修の休止・中断、プログラム移動、プログラム外研修の条件
 特別に配慮が必要な事情(海外留学・勤務、妊娠・出産・育児、親族の介護、病気療養、管理業務、災害被災など)があり、通常の診療業務や自己研鑽が制限されたため児童精神科専門医資格の更新が困難な場合は、研修の休止を申請することができる。尚、病休、出産・育児の場合には6ヵ月までは申請不要とする。6ヶ月を超える休止には届け出を要する。再開までの休止期間の上限は3年とするが、それ以上の休止を要する場合には休止までの研修状況、再開後に予定される研修機会の状況を踏まえ、研修内容について児童精神科専門医・認定医審査委員会と相談の上、個別に対応する。と相談の上、個別に対応する。

専門研修を支える体制
①専門研修の管理運営体制の基準
 研修施設においては研修統括責任者1名と指導医1名以上を配置し、担当専攻医を把握できる体制を整える。

②基幹施設の役割
 基幹施設では、指導医が責任を持って自施設での円滑な研修の実施、進捗の管理を行う。③専門研修指導医の基準
児童精神科専門医指導医の認定基準として、以下を定める。
1. 児童精神科専門医資格を持ち、児童精神科専門医の更新を1回以上行っている。
2. 日本児童青年精神医学会が指定する児童精神科指導医研修を受講している。
3. 児童精神医学に関する学術活動を行っているもの。
④専門研修管理委員会の役割と権限 (連携施設での委員会組織も含む)
各研修施設の責任者は、指導医と連携し専攻医の指導にあたる。
⑤統括責任者の基準、および役割と権限
統括責任者:
1)原則として、研修認定施設の児童精神科領域に責任をもつ立場にあること。
2)児童精神科専門医指導医であること。
役割・権限:
1)各認定施設の責任者として、専攻医の管理・研修の運営を行う。
2)専攻医の採用、修了認定に責任を持つ。
3)指導医の管理・支援を行う。

⑥労働環境、労働安全、勤務条件
 労働基準法・医療法の遵守し、時間外勤務の上限遵守を含む適切な労働環境、労働安全、ハラスメント防止、勤務条件の整備と管理を担い、そして、専攻医の心身の健康状態に配慮する。

専門研修実績記録システム、マニュアル等の整備
①研修実績および評価を記録し、蓄積するシステム
 専攻医の研修実績および評価を体系的に記録・管理し、それらを活用して計画的な研修の実施、研修修了認定、ならびに研修カリキュラム全体の評価が可能となるシステムを整備する。
主な内容は以下のとおりである。
A. 症例および実績の記録
1. 「児童青年精神医学会入会後で、かつ児童精神科専門医の認定を申請した時点より5年以内に自ら診療した児童青年期患者30例の一覧と簡略な診療経過(所定の様式)
1) 申請者が診療を担当した時点で18歳未満であること。
2) 症例には13歳未満15例以上、13歳以上16歳未満を5例以上含むこと。
3) 経験する項目や内容は別記のカリキュラムを参照。
4)30例には、3③ⅱ「経験すべき診察・検査」1~4の診療場面を最低限各1つは含むこと。
2. 1例2,000字以内の記述を必要とする症例報告5例
1) 申請者が診療を担当した時点で18歳未満であること。
2)30例の経験症例のなかから5例選択すること。
3)記述する内容については、上記B項目から4例、C項目から1例とする。
B. 研修履歴および評価
 専攻医の研修履歴(研修・修練施設、研修期間、担当指導医・修練指導者など)を明確に記録する。具体的な評価について22.に記載した。
C. 研修項目とカリキュラム管理
「児童精神科専門医のための到達目標・研修項目」に基づく研修項目チェックシートおよび研修歴を用いて到達度を確認する。研修カリキュラム運用のためのマニュアル(研修手帳)および各種記録フォーマットを整備する。カリキュラム修了確認のため、専攻医は研修項目履修ごとに、研修実績をマニュアル(手帳)の指定フォーマットへ記録する。
D. 運用および管理上の留意点
研修期間中、これらの記録は原則として研修認定施設内で専攻医が各自管理・保管する。記録・管理にあたっては、個人情報保護に十分配慮する。

➁研修制度運用マニュアル・フォーマット等の整備
児童精神科専門医制度の運用のため、専攻医研修マニュアル、および、指導医マニュアルを整備し、定期的に児童精神科専門医・認定医審査委員会で見直しを行う。
◉専攻医研修マニュアル
 児童精神科専門医研修カリキュラムに基づいた専攻医研修マニュアルを作成する。その内容は以下の通りである。
 ⅰ)必要な知識・技能・態度について
 ⅱ)経験すべき総論(A)と各論(B,C)の種類と経験すべき症例数について
 ⅲ)自己評価と他者評価
 ⅳ)修了要件
 ⅴ)児童精神科専門医資格認定申請に必要な書類と提出方法”
◉指導者マニュアル
 専攻医を指導する指導医に向けたマニュアルを作成する。その内容は以下の通りである。
 ⅰ)カリキュラムの概要
 ⅱ)研修評価、フィードバックの方法
 ⅲ)カリキュラム達成度評価表の内容
 ⅳ)指導医の要件
◉専攻医研修実績記録フォーマット
 (1)「児童精神科専門医のための到達目標・研修項目」内の「児童精神科専門医研修項目」チェックシートおよび「児童精神科専門医研修歴」による研修履歴・研修実績の記録
 (2) 症例要約および症例詳細報告記入用フォーマット”
◉専門研修指導医による指導とフィードバックの記録
 指導医によるチェック、診療能力に関する評価と指導・フィードバックを「児童精神科専門医研修項目」チェックシートに記録する
◉指導者研修計画(FD)の実施記録
 専門医ならびに指導医は、日本児童青年精神医学会が主催するFD講習会に積極的に参加し、参加記録を保存する。

専門研修体制の評価と改善
①専攻医による専門研修指導医および研修体制に対する評価
 専攻医は、専門研修指導医および研修カリキュラム・研修体制について、無記名方式で定期的に評価を行う。評価は「児童精神科専門医研修項目」チェックシートの研修カリキュラムに対する感想記載欄、研修振り返り欄、自由記載欄を使用する。電子システムを用い、指導内容の適切さや分かりやすさ、指導頻度、研修環境などを自由記載を含めて記録する。評価結果は専攻医が不利益を被らない形で研修委員会等が集計・閲覧し、指導医、カリキュラム、研修体制の継続的改善に活用される。

②専攻医等からの評価(フィードバック)をシステム改善につなげるプロセス
 専攻医からの評価、研修進捗状況を各研修施設は把握・検討し、適切に改善につなげていく。具体的には以下に分類して、対応を検討する。
1)即時改善を要する事項
2)年度内に改善を要する事項
3)数年をかけて改善を要する事項
4)児童精神科領域で改善を要する事項
 施設内で解決が難しい場合は、日本児童青年精神医学会児童精神科専門医・認定医審査委員会を相談先とする。これらの事案の対応を通じて、自律的にプログラムの改善を図っていく。

③研修に対する監査(サイトビジット等)・調査への対応
 日本児童青年精神医学会児童精神科専門医・認定医審査委員会は各施設における問題提起があれば積極的に相談を受け、改善に向けての提言を行う。また、年に一度、児童精神科専門医制度についての見直しを行い、必要に応じて改善を行う。なお研修プログラムなどに問題が生じた場合には、その施設に対して適宜サイトビジットを行うことを考慮し、該当する施設においてはサイトビジットを受け入れる。

専攻医の採用と修了
①採用方法
精神科研修プログラムのうち1年間を除く期間(すなわち最長2年)を児童精神科専門医研修の期間に組み入れることが可能である。
採用方法は原則として以下の通りとする。
1)各施設は適宜面接等により、採用試験を実施する。
2)採用手順については、各施設のHPに提示する。”
②修了要件
研修期間内において、以下の合格基準を満たす場合には合格と満たす。
1. ケースレポートを提出し、全てが児童精神科専門医・認定医審査委員会の審査に合格すること。
2. 児童精神科専門医認定試験に合格すること。
3. 児童青年精神医学に関係した別に定める学術活動を行っているもの。

専門医制度の改訂
 サブスペシャルティ領域専門医検討委員会において専門医研修整備基準、カリキュラムを作成し、5年または必要に応じて逐次、改定を行い、日本専門医機構の承認を得る

<注釈>学会認定専門医制度での研修実績の新制度での研修実績としての認定について2026年度以降に児童精神科専門医研修をはじめた者に関しては、2026年4月に遡り研修実績を新制度の研修実績として認める。