2019.6.11注意欠陥/多動性障害に対する中枢刺激薬の適正使用について

令和元年6月11日

会員各位

一般社団法人日本児童青年精神医学会
代表理事 松本 英夫
薬事委員会 委員長 飯田 順三

注意欠陥/多動性障害に対する中枢刺激薬の適正使用について

 会員の皆様におかれましては益々ご健勝のことと存じます。
 このたび厚生労働省医薬・生活衛生局より各自治体の衛生主管部(局)長当てに「リスデキサンフェタミンメシル酸塩製剤の使用に当たっての留意事項について」(平成31年3月26日付)が通達され、関連学会にも会員への周知の依頼がありました。この通達は、リスデキサンフェタミンメシル酸塩製剤について「小児における注意欠陥/多動性障害(AD/HD)」を効能又は効果として製造販売承認を行うにあたり、承認条件等を通知して適正使用を依頼するものです。
 詳細については通知文*をご確認ください。具体的には、承認条件として1)医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること、2)本剤が、AD/HDの診断、治療に精通した医師によって適切な患者に対してのみ処方されるとともに、薬物依存を含む本剤のリスク等について十分に管理できる医療機関及び薬局においてのみ取り扱われるよう、製造販売にあたって必要な措置を講じること、3)使用実態下における乱用・依存性に関する評価が行われるまでの間は、他のAD/HD治療薬が効果不十分な場合にのみ使用されるよう必要な措置を講じること、が挙げられています。すなわち、2)は流通管理に関する条件ですが、医師、薬剤師、医療機関及び薬局ならびに患者の登録などが行われることが触れられています。また、承認条件3)の趣旨に基づき、使用実態下における乱用・依存性に関する評価が行われるまでの間、他のAD/HD治療薬が効果不十分な場合にのみ本剤を使用することが言及されています。また、本剤が覚せい剤取締法(昭和26年法律第252号)に規定する覚せい剤原料にされたことから覚せい剤取締法の遵守を求めています。
 すでに、コンサータ錠(塩酸メチルフェニデート徐放錠)については、薬物乱用及び薬物依存等のリスクがあること等から、医師や薬局の登録や第三者委員会の設置等の流通管理が行われていますが、登録医による営利目的での不正譲渡等の事例が判明しており、コンサータ錠についても流通管理を強化することが検討されているとのことです。
 本学会の会員の皆様におかれましては、すでに適正診断、適正処方にご留意いただいていることと存じますが、改めてこの点についてご認識をいただけますようお願いを申し上げます。

*厚生労働省医薬・生活衛生局:リスデキサンフェタミンメシル酸塩製剤の使用に当たっての留意事項について(平成31年3月26日付)https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T190328I0010.pdf

以上