2013.02.15 DSM5の児童青年精神医学関連用語の翻訳案について

平成25年2月14日

DSM5の児童青年精神医学関連用語の翻訳案について

児童青年精神医学用語検討委員会 委員長 松本英夫
                         

2013年5月にDSM5が出されるにあたり,日本精神神経学会から用語の翻訳を統一したいとの意向が示され,学会内に精神科病名検討連絡会が発足しました。そして本学会に対して児童青年精神医学関連用語の翻訳依頼があったために,松本英夫が委員長となり臨時で児童青年精神医学用語検討委員会を立ち上げ,飯田順三,岡田 俊,田中 究,本城秀次,の各理事と齊藤卓弥評議員を委員として検討して参りました。この程,翻訳の委員会案を作成しましたので提示させて頂きます。なお,以下の点について簡潔に解説をさせて頂きます。

1. 日本精神神経学会の精神科病名検討連絡会での議論により,「disorders」の「s」は「群」と訳すと取り決めましたのでそれに従いました。

2. depressive disorderなどは精神科病名検討連絡会での検討に任せたいと思いますので翻訳案は記載しておりません。

3. 今回の委員会案ではこれまで批判の多かった「disorder」の訳である「障害」を使用せず,「症」ないし「不全症」として統一しました。

4. D 00 Disruptive Mood Dysregulation Disorder(DMDD)の日本語訳について,直訳は従来のDSMに従えば、破壊的気分失調障害、破壊的気分調節障害、破壊的気分調節不全障害が疾患名になると考えられます。しかしながら、DMDDという診断概念が形成された歴史的背景を考えますと,「破壊的」と日本語訳した際に偏った意味となってしまう懸念があります。「disruptive」についてnative speakerにニュアンスを尋ねますと,日本人が考えている破壊的だけではなく,低い水準の問題行動も含まれた概念のようです。また「disruptive」には有害という意味もあり、「disruptiveな程度」ということで「重篤」,「重症」というニュアンスの言葉を選択するのがよいと考えました。元々のDMDDの概念がsever mood dsyregulation からきている点も加味して,意訳して今回の訳を提案させて頂きました。

同様にDisruptive, Impulse Control, and Conduct Disordersについても「Disruptive」は「重篤な」とし,「Conduct」は従来の日本語訳を踏襲し「素行」としました。

 以上が委員会立ち上げの経緯と翻訳案の解説です。

 翻訳案(PDF)

 会員の皆様からのご意見を求めます。

 期限は今月末の2月28日(木)とさせて頂きます。