COIに関するQ&A

 臨床研究の利益相反(COI)に関する指針および細則に関するQ&A

このQ&Aは、COI指針および細則の策定過程で、特にわかりにくい、解釈が分かれると考えられた点に限って作成しました。ご不明な点があれば、ご質問、ご意見等お寄せください。

◆ご質問・ご意見のあて先(学会事務局):jde07707@nifty.ne.jp

指針の項目に対応したQ&A

II.対象者

Q:学会発表については、指針の細則第3条に、口頭、ポスターとも、筆頭発表のみCOI申告および開示が求められ、論文発表については著者全員についてCOI申告および開示が求められる、とありますが、なぜこのような違いがあるのでしょうか?

A:学術総会その他の講演会などでは、発表時間やポスターのスペースも限られていることから、筆頭著者のみとしていますが、将来的には全員に申告を求める方向も検討しています。論文投稿の場合には、査読段階でより慎重に内容を吟味し、発表後も学会発表よりも影響力が多いことから、著者全員の申告と利益相反状態についての掲載を求めることとしています。

Q:対象者の中に、「(4)学会を代表して外部で行う専門活動に携わる者」とありますが、これはどのような活動を意味するのでしょうか?

A:例えば、学会を代表して日本医師会に置かれた疑義解釈委員会の委員となった者などがこれに該当します。

III.対象となる活動

Q:指針細則第3条に、「申告された内容は、代表理事から倫理委員会利益相反部会および,発表については学術総会のプログラム委員会や講演会等の運営委員会,論文については編集委員会に報告される.」とありますが、これらの発表以外に、学会としての図書刊行、研修会などに関するCOIはどのように申告、検討をされているのでしょうか。

A:現在、学術総会での申告や役員・委員会活動に関する申告は倫理委員会 利益相反部会,学会機関誌に掲載される論文に関する申告は編集委員会が管理するという運用を行っています.学会として行う図書刊行などが本学会の機関誌以外の媒体で発表される場合,研修会の外部講師が発表をする際のCOI開示は,現在のところ定式的なチェック機能を設けていませんが,これらにおいてもCOI開示が適切に行われるよう、倫理委員会利益相反部会から各活動を行っている委員会にお願いしているところです。 学会員が、学会としての活動ではなく、学会外の雑誌や講演会で発表する際のCOI開示は、学会指針の適用範囲外となりますが、指針の精神に則り、必要と考えられるCOI開示を積極的に行うことが望ましいと考えます。

IV.申告すべき事項

Q:「学術総会・学会誌での発表の登録・投稿においては発表内容と関連する事項のみ申告対象とし,発表者本人の情報について,発表時に公表するものとする。」とありますが、発表内容と関連性のない利益相反状態は申告しなくてよいのでしょうか。また、学会発表以外の委員会活動等についてはどうなのでしょうか。

A:学術総会や学会誌での発表では、例えば個別の医薬品の評価に関するものならば、その医薬品の販売元や関連する事業者との利益相反状態のみが申告・発表の対象となります。学術総会や学会誌での発表内容が、多数の医薬品の使用傾向や精神医学・医療全般に関わるものである場合には、個別の医薬品を扱う企業に限らず申告・発表の対象となる場合があります。役員・委員会活動については、多くの場合に、個別の医薬品の評価ではなく、精神医学・医療全般に関わる活動であると考えられ、申告対象の範囲をできるだけ広くとることが望ましいと考えられます。

Q:申告すべき事項の中に、「(1)企業・法人組織等の役員,顧問職,社員等への就任」とありますが、「企業・法人組織等」の「等」は何を意味するのでしょうか?

A:営利企業に限らず、公益法人・一般法人・NPO法人なども、申告対象となることを示しています。これらの団体が支援金、寄付金を受けていたり、企業資金を運用している場合もあるためです。

Q:「(1)企業・法人組織等の役員,顧問職,社員等への就任」という記載は、医療機関や研究機関に所属する学会員が企業の役員等になる場合、と読めますが、発表者自身が企業の職員である場合は、どう考えたらよいのでしょうか?

A:企業の職員の方が発表される場合には、発表内容が自社製品と関連したものであれば、当然に利益相反はあるということになりますので、社員として受け取っている報酬額が指針細則に示す金額を超えていれば、開示してください。発表時については報酬額の開示を求めておらず、有無の開示のみを求めています。

Q:この指針は臨床研究に関する利益相反に関するもので、基礎研究は対象外ということですが、「(6)研究費」については、臨床研究に対する研究費のみが対象になるのでしょうか?

A:学会活動が臨床研究に関するものである場合に、その学会活動内容と関連した利益相反が問題になります。このため、例えば、製薬企業Aが販売する医薬品aの臨床研究結果を学会発表する場合に、製薬企業Aから基礎研究費を受け取っていれば、申告対象となります。 一方、発表内容が基礎研究である場合には、利益相反があってもその開示を指針の規定では求めていないことになりますが、日本医学会では基礎研究についても各学会で管理し開示する方向を推奨していますので、学会員各自で自主的に、開示されることが望ましいです。また、学術総会や編集委員会の方針に基づき、本指針をより厳しく広範に運用する可能性もあります。

Q:「(10)対象者の配偶者、一親等の親族、収入・財産を共有する者に関する(1)~(9)の事項」とありますが、これらの人たちが得ている利益についてすべてを知らない場合が考えられますが、くまなく調査をして申告する必要があるのでしょうか?

A:現在のところ倫理委員会内の討議では、事実を知らなければ利益相反状態を生むことはないため、現在入手している情報の範囲で申告すべきと考えています。ただし、これらの関係者の情報が第三者に伝わり批判や疑義の対象となる可能性は否定できないため、入手している情報については偽りなく申告する必要があります。

Q:ある製薬企業から、私の勤める病院に奨学寄付金400万円の入金があり、研究担当者名は私になっています。実際には、病院全体の研究費として多くの人が使用しており、物品を購入する場合、病院事務を通して経理がされています。このような奨学寄付金も私のCOI状態として申告すべきでしょうか?

A:奨学寄付金を受け入れた場合、1企業から年間200万円以上であれば、受け入れた研究担当者が申告する必要があります。実際の研究費の使用者が誰であるかに関わらず、研究責任者のCOIとして申告してください。ただし、学会発表、論文投稿の研究内容が、奨学寄付金を納入した企業・団体と関係のない場合には開示する必要はありません。一方、学会役員などは本学会が行う事業に関連する企業・団体に関わるもの全てが自己申告の対象となり、COI状態の開示を求められます。

Q:私の所属機関では、企業からの奨学寄付金や治験の入金額の10%が事務経費として差し引かれます。このため、企業から300万円の奨学寄付金をもらっても、研究者には270万円となります。この場合、奨学金の受け入れは、270万円と考えてよろしいでしょうか?

A:申告する奨学金の基準額は所属機関の事務経費を控除した額でなく、企業から入金された全額をもとに記載してください。したがって、この例の場合、奨学金額は300万円と判定されます。

Q:COI申告書の項目6・7の中で、研究費(受託研究・共同研究・奨学寄附金・治験・市販後調査等)や奨学寄付金などの項目がありますが、教室(医局或いは講座など)の代表リーダー(教授、准教授など)などが受けている場合、どうすべきでしょうか? 

A:学会での演題発表や本学会の機関誌での発表については、申告者が所属する研究室が同じであるとか、共同研究のために研究費の使途を一にしている場合、発表内容と関連する企業・法人組織との経済的な関係に関してCOI状態にあるとして基準額を超えていれば、申告してください。役員の場合も同様で、部局内の研究者個人が研究費の提供を受けているが、共同研究を行う立場であれば、申告してください。

Q:COI申告書の項目6の中で、「研究委受託契約が所属機関との間で締結されている場合には,研究費の金額は所属機関に支払われる金額とする」とありますが、この所属機関はどこに該当しますか?

A:申告者の所属する講座や分野、研究室などに該当します。

Q:他学会では、発表内容に関連するCOI状態を演題登録時・論文投稿時から遡って過去1年分(役員等は就任時から遡って過去1年分)を申告することとなっていますが、本学会ではどうして過去3年分のCOI状態を申告しなければならないのですか?

A:平成26年2月に日本医学会の医学研究のCOIマネージメントに関するガイドラインが改定され、その中で、役員就任時や発表時点から遡って過去3年間を対象期間としてCOI状態の自己申告を会員、職員に義務付けることが望まれる、と明記されています。本学会では、このガイドラインに則り、過去3年分のCOI状態の申告を求めることとしました。

V.利益相反状態との関係で回避すべき事項

Q:「2.臨床研究の実施責任者が回避すべきこと」について、「実施責任者」とはどのような職務の人を指すのでしょうか?

A:ここでは、「臨床研究に関する倫理指針」における「研究責任者」、治験における「治験責任医師」を意味します。

VI.実施方法

Q:倫理委員会 利益相反部会では、すべての会員からの申告内容について、審議を行うのでしょうか?

A:倫理委員会 利益相反部会は、問題が発生したときに、代表理事からの指示により調査、審議を行うのが主たる責務なので、個別の申告内容についての審議は行いません。ただし、代表理事宛てになされる個別の申告について報告を受けますので、申告内容に目を通し、利益相反部会自ら問題があるとみなせば、その時点で審議を行う可能性はあります。

Q:倫理委員会 利益相反部会の役割として、「利益相反に関する諸問題の管理、監視、相談、啓蒙活動」とありますが、「相談、啓蒙活動」とはどんなことを意味するのでしょうか?

A:相談は、当面は指針や細則の解釈についての質問を受け付け回答する形で対応していきますが、より詳細な相談が必要になった場合の対応も今後検討しますので、何かありましたら質問のメールアドレスにお寄せください。

Q:役員等の申告は、どの時点で行うのでしょうか?

A:現状では、細則第4条にあるように、就任時に、就任時から遡って過去3年間のCOI状態について、提出していただくこととしています。将来的には就任前の提出とし、就任の適否の評価の対象とする方向性も検討しています。なお初年度は既に就任している役員・委員等に対して、書類管理の体制が整い次第申告をお願いする方式をとっています。

尚、本Q&Aは、以下のガイドラインやQ&Aを参考にして作成しております。

日本医学会の医学研究のCOIマネージメントに関するガイドライン(http://jams.med.or.jp/guideline/coi-management_201402.pdf)

日本内科学会のCOI指針・細則の策定とその後の運用に関するQ & A

(https://www.naika.or.jp/coi/qanda1.html)

日本精神神経学会のCOI指針・細則に関するQ&A

(https://www.jspn.or.jp/about/files/coi_detailed_rules_faq.pdf)