会長挨拶

第64回日本児童青年精神医学会弘前総会

子どものこころの発達と未来への展望

大 会 長:中村 和彦(弘前大学大学院医学研究科 神経精神医学講座 教授)
顧  問:田﨑 博一(一般社団法人青森精神科病院・診療所協会 会長)
事務局長:冨田 哲(弘前大学大学院医学研究科 神経精神医学講座 准教授)
期 日:2023年11月2日(木)~11月4日(土)2023年11月14日(火)~11月16日(木)

 弘前大学医学部神経精神科の中村和彦でございます。伝統ある日本児童青年精神医学総会の第64回大会を青森県弘前市で開催させていただきます。テーマは「子どものこころの発達と未来への展望」です。

 昨今、少子化や子どもの貧困など子どもに関する諸問題が連日報道されています。少子化については、令和4年の合計特殊出生率は1.27で人口が減りつづけております。東北大学経済学研究科吉田研究室の子ども人口時計によると、日本の子ども(0-14歳)の数は2966年には1人になってしまうとのことです。非常に衝撃的な数字ですが、弘前市でも実際に子どもの数は年々減っております。貧困問題も深刻で、公的支援は十分とは言い難い状況です。このような社会で私たちは子どもたちのために何ができるでしょうか。学会員の皆様に子どもたちの未来について語りあって頂きたく、このテーマに致しました。 

 私事ながら、私が初めてこの学会に参加したのは、1991年に若林愼一郎先生(岐阜大学 教授)のもとで開催された第32回岐阜総会で、スローガンは「21世紀の児童青年精神科医療をめざして」でした。当時、私は医師2年目で、香川医科大学精神科で働いていました。オーベンの藤岡邦子先生(弘前大学出身)のご指導のもと、学会発表に向けて皆でスライドや原稿を作成しました。私の故郷の岐阜市で、初めて市民会館のような大きな会場で発表しました。当時、学会での議論は今と違って厳しい雰囲気でした。しかし、私たちのような地方の発表に対して、梅ヶ丘病院の中根晃先生がいつも好意的なコメントを下さりました。中根先生のコメントを励みに、ぜひ来年も発表したいと思い、毎年学会に行くのを楽しみにしておりました。その頃の学会は、初日の夕方に症例検討のセクションがいくつか並んでおり、一つ選んで参加しました。症例検討が終わると皆で連れ立って食事に行くなど、本当に楽しかった思い出です。

 会員の皆様、若手の方々をお誘いのうえ青森県弘前市へお越し下さい。紅葉シーズンで、日没後は弘前城周囲の紅葉がライトアップされています。青森の日本酒にも味わいがあります。少し足を延ばせば温泉や観光地がたくさんあります。藤岡先生がご存命であれば弘前学会にお越し頂き喜んで頂けただろうと残念ですが、若い会員に糸をつなぐ学会にしたいと思います。

第64回日本児童青年精神医学会総会 会長
弘前大学医学部神経精神科 中村 和彦