会長挨拶

第61回日本児童青年精神医学会神戸総会

児童青年精神医学のこれから
「生きる」をまもり 「育ち」を支えること

会 長:田中 究(兵庫県立 ひょうご こころの医療センター 院長)
期 日:2020年10月24日(土)〜11月20日(金)
    (10月24日のみ一部ライブ配信)
会 場:WEB開催

 2020年は新型コロナウイルス感染症がパンデミックとなり、全世界で多くの方が罹患し、亡くなり、日常生活は麻痺、停滞し、子どもたちを含めて多くの人々が不安と恐怖の中にいます。第61回日本児童青年精神医学会総会は2020年10月22日(木)から、神戸国際会議場で開催することとしておりましたが、これまでにもお知らせして参りましたとおり、感染拡大を防ぎ、参加者、関係者の健康と安全にかんがみ、現地開催を行わずWEB配信での開催と致しました。
 本総会のテーマは「児童青年精神医学のこれから―『生きる』をまもり『育ち』を支えること―」と致しました。2020年神戸は阪神淡路大震災から25年を迎えます。この災害は児童青年精神医学のみならず精神医学にも影響をもたらしました。そのひとつは心的外傷を大きなテーマとして取り扱うようになったことです。自然災害や事故に加えて子ども虐待とその影響などについての評価や治療が求められてきました。そして、「心のケア」「こころの傷つき」への関心が人々に拡がり、トラウマケアや支援の形が整備されていきました。これはまた、ひろく精神科疾患への関心を促し、統合失調症への病名変更、発達障害支援法や児童虐待防止法などの制定を通して、理解や支援につながっていったように思います。
 このコロナ禍によって、学校生活は中断し、自宅生活を求められ、養育者の生活も変化し、子どもの生活は大きく揺さぶられ、大人ともども心身ともに振り回されています。こうした中、子どもや青年への支援は新たな理念や方法論を模索していくことになりますが、支援の基盤となるところは人と人の関係の中の揺るぎないものだと思います。
 これからの世界を支えていく子どものいのちとこころの成長、生きていくことをまもり、育ちを支えるために、私たちは何をするべきなのか、これからの児童青年精神医学について考えて参りたいと思います。
 本学会は医師をはじめとする医療職だけではなく心理職,福祉職、教育職、司法職など多職種によって構成され、学際的に児童青年期精神医学の臨床、研究を行う学会です、多職種が参加できるプログラムが行われて参りました。しかし、WEB開催になって、症例検討や一部のプログラムは断念せざるを得ませんでした。教育講演,シンポジウム,先達との対話、委員会セミナ一などの多く、加えて全ての一般口演やポスター発表はオンデマンドで開催いたします。参加者はそれをご自身の場所でWEBを通して視聴いただくという例年とは全く違った様式での開催になります。
 準備には万全を期しておりますが、初めてのことが多くなにかと不手際が多いかと思いますが、これも新しい学会の様式としてご寛恕いただければと存じます。
 総会におけるプログラムの詳細につきましては、第61回総会ホームページにて、随時、公開致しますので御参照下さい。

第61回日本児童青年精神医学会総会 会長
兵庫県立 ひょうご こころの医療センター 田中 究